ヒルズの窓から 第1回 【エステの効能】

相沢あやの

2018年04月14日 19:45



中学・高校時代、ファンクラブに入るほど陶酔したロックバンド。そのボーカルが「女の人は綺麗でいることが仕事だ」と言っているのを聞き、惚れ惚れとしたことがあった。
私がイメージする”キレイな人”とは、女性らしい優しさや淑やかさを漂わせた、笑顔の美しい人。そして、美はその人の生まれ持つものだと信じていた。だから、そのボーカリストの言葉は、女性賛美と好みの女性に対する「ありのままの君で良いんだよ」というキザな男性のセリフに聴こえ、うっとりとしてしまったのだった。
ところが「私なんて、仕事サボってるって、ずっと怒られっぱなしになる!」と叫ぶ同級生に、ハッとさせられる事に。彼女の言葉はおそらく、自分の容姿に自信の持てない思春期の女の子らしい、恥じらいの意味合いであったのに違いないのだけど、今になって思い返してみると、美は努力!かも?知れない⁇という事に私が気付いたのは、間違いなくあの瞬間だった。



とは言え、その後は美容とは縁遠く、頻繁にエステのお世話になるようになったのは、最近からのこと。お付き合いや、諸々の兼ね合いから、各地でサロンに入っている。沖縄でも、かの百名伽藍で1本、何万円もするという美容液をたっぷり使った海辺のフェイシャルにも行ったし、スクラブエステやマッサージ、もちろん整体は自分が名誉院長を務める整体院が自宅近くの西麻布にあって、施術の良さも必要性も充分良く理解しているのだけれど、元来、面倒臭がりの私は、時間とお金までかけて自分の手入れをするエステが、相変わらずそんなに好きではない。



それでも、頑張って?あちらこちらにチョコチョコ出入りしていて感じるのは、磨き上げられると、自分の価値が上がった気がしてシャンとしたくなる、ということ。セルフケアではなく、敢えて人の手を借りて施して貰うトリートメントは、シンデレラをプリンセスにした魔法に似てる、といつも思う。掌が持つ力というのは、格別だ。
それにしても、都会の人は美意識が高い。場の雰囲気を大事にする為のドレスコードよろしく、せめて私も街の風景がぶち壊しにならない程度の美へ努力はしなきゃ、かな?と、施術者の掌に意識を押し上げて頂く日々である。

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